大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

広島高等裁判所 昭和27年(う)517号 判決

原判決は証拠により起訴状記載の公訴事実のとおり事実を認定しており公訴事実によれば被告人が田中清一こと宗三渉から覚せい剤注射液合計三、〇〇〇本を買受けて譲受けた事実を第一とし,その第三に被告人が覚せい剤注射液二〇本を所持していた事実が記載せられていること、証拠によれば被告人が所持していた注射液は譲受にかかるものであることはいずれも所論のとおりである。而して覚せい剤取締法においては第一七条第三項においてこれが譲渡譲受を禁じ、第一四条第一項においてこれが所持を禁じており、その規定を異にしているけれども、譲り受けにかかる同一物をそのまま所持している場合においては譲受と所持とはその行為の態様は異つても、刑罰法上の価値判断としては一個の犯罪が成立するに過ぎないものと解さなければならない。これを各別の犯罪を構成するものとし、併合罪の規定を適用処断した原判決は、右法律の解釈を誤り事実を誤認したものというべく、右誤認は判決に影響を及ぼすこと明らかであるから原判決は破棄を免れない。

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!